「キノはどうして旅を続けているの?」
「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか?
ものすごく汚い人間ではないか?なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。・・・・・・でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なもののように感じるんだ。とても愛しく思えるんだよ・・・・・・ボクはそれらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしているような気がする」
キノは、人間の言葉を話す二輪車のエルメスを相棒として
様々な国を巡っている。
旅のルールは、「一つの国の滞在は、最大 3 日間まで」。
限られた時間のなかで、個性豊かなそれぞれの国に住む人々と関わり
そしてまた、次の国を目指して旅立つ。
時に優しく、時に哀しく、時に滑稽で、時に胸に突き刺さる———。
これは、キノとエルメスの旅をつうじて語られる、
“美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい” 世界のお話。